SQUARE JOURNAL Vol.03 FACTORY

SQUARE JOURNAL Vol.03 FACTORY

CRAFTSMEN ARE CENTERSTAGE
CRAFTSMEN ARE CENTERSTAGE

 服部緑地のマンションの一室からスタートしたSQUARE。オリジナルの家具づくりを本格的はじめたのは、箕面市石丸の倉庫に移転してからだ。家具を製作するスペースを確保するために選んだのは、天井高5mのだだっ広い倉庫。その広い空間を間仕切ることで、ショールームと倉庫、そして工房に分割して使用していた。はじめての工房は、若い家具職人が一人いるだけの狭い空間。しかし次第に受注が多くなり、スタッフが増えていくに従って工房スペースは徐々に拡大していき、最終的には倉庫空間の半分以上を工房が占めることになった。

 石丸の倉庫がさすがに手狭になってきたと感じていた時期に、倉庫立ち退きの話が持ち上がる。それをきっかけに探し当てたのが、現在のSQUAREショップがある箕面市船場のビルだ。同時に工房として使える物件を探していたところ、ショップと道を1本挟んだ角地の倉庫ビルに巡り会う。まるでSQUAREのために用意されていたかのような最高のロケーションに心が躍った。壁のなかった吹きさらしの1階部分に、壁と窓をつけて工房へとリノベーション。外観デザインは、以前アメリカで見かけたカッコイイビルがお手本だ。

レンガづくりの壁に鉄格子をはめ込んだような窓枠が印象的な建物で、撮影した何枚もの写真を参考にそのビルを再現した。ビンテージレンガを用いた壁は、レンガの積み方にもこだわって、窓枠の下だけ少しレンガを迫り出して表情を変えている。工房の中からも街路樹の緑が見える大きな窓を設置し、明るく開放的な工房が完成した。目指したのは、「職人を表舞台に出す、オープンキッチンのような工房」。ショップを訪れるお客様にも見ていただきたい、SQUARE自慢の工房だ。

 このカッコイイ工房で、職人たちの手によってSQUAREのオリジナル家具はつくられている。 製作スペースの奥には木材やパーツを保管する倉庫と、スタッフ同士や家具をオーダーしたお客様とも打ち合わせができるスペースを確保。 裏の道路に面した壁に大きな鉄扉を設置して、裏側からの出入りも可能にした。 工房の建物にも内部にも、共通して息づいているのは荒削りでカッコイイSQUAREの美意識。 その雰囲気を大切にしているから、使う道具やスタッフの持ち物、そして服装までもが自然と似たようなテイストになっていく。SQUAREらしさがあふれる空間で生み出される家具たちは、だから細部に至るまで妥協なくカッコイイ。スタッフ全員の美意識にブレがないから、誰に任せても満足できる仕上がりになる。 SQUAREにおける家具づくりは、人目につかない裏方の仕事ではない。 そのことが、この工房を見ればきっとわかっていただけると思う。