楪葉:このビルを建てる時、1階を家具のショールームとカフェにしたいと考えていて。一緒に仕事をしていたデザイナーに紹介してもらったのがSQUAREでした。
林:SQUAREとも長いお付き合いのあるデザイナーで、「京都の川沿いでいい場所があるから、林さんショールーム出さない」って言われて。でも、当時は事業を拡大する気がなかったのでお断りした。
楪葉:その反応を聞いて、僕が直談判しに箕面へ乗り込んでいったんですよね(笑)。
林:ちょうど僕が古いビルのリノベーションの依頼を受けていて、それが自分の手には負えない物件だったので、一級建築士の資格を持っている楪葉さんに相談して。
楪葉:僕もその時、京都でマンション2部屋のリノベーションを控えていたので林さんに相談して。ひと部屋はザ・SQUAREって感じにしたくて、すべてお任せでお願いして、もうひと部屋はスケルトンで販売。
林:そのマンション物件を手掛けたことで、京都に来ることが増えた。そして楪葉さんに「散歩しましょうよ!」って連れて行かれたのがここの現場(Whatever SHIMOGAMO-EAST)。
楪葉:林さんに、気の流れのいいこの場所の空気感を味わって欲しかったから、自転車に乗って鴨川デルタの川沿いや商店街などを巡って、まだ更地だった現場に連れて来ましたね。
林:あれは、今までに経験したことのないプレゼンの仕方だった。
電話やメールで話を聞いてた時は「大阪だけで手一杯やから無理やわ」って断ってたけど、現場の空気を感じたら「うわぁ〜、いいな〜!」って、心が動かされた。
楪葉:お忙しい林さんの手を煩わせないように、「運営方法はこちらで構築します!」って説得して。
林:「よっしゃ、やってみよう!」って、久しぶりに気持ちが高ぶった。 実は、これまでにもコラボの話はたくさんあったけど、ときめくことがなくてお断りしてきた。
でも「この人とやったら、おもろそう!」って感じて。 50過ぎたらのんびり働いて、現場からフェードアウトしたいって思ってたのに(笑)。
「林さんの好きなようにやってください」って言ってくれたのも嬉しかった。
林:楪葉さんを真似て、僕も葉山に楪葉さんを連れて行ってショールームやゲストハウスを巡って、葉山の魅力をプレゼンしましたね。
楪葉:葉山も素敵な場所ですよね。 ゲストハウスのある諸磯もすごく良かった!
林:物件はどんどん増えていってるけど活用しきれていなくて、管理するのが大変。
楪葉:せっかくいい空間をたくさんお持ちなんだから、活用しないともったいない。
箕面でだって、コワーキングスペースとして空間をレンタルしたら、絶対求めている人がいると思う。
林:楪葉さんは、どんどん新しいことを仕掛けていく発想力がすごいね。
楪葉:今回のビルでは、京都にはまだ少ないコリビングハウスを展開したらすぐ満室になって、世の中に求められてるスタイルなんだって実感しました。入居者の半分はフリーランサーで、海外への移住を考えている人もいて住宅を所有したいと思っていない。家電や家具を持ちたくなんですよ。だから家具や家電、ネット環境もすべて整えて、トランクひとつで旅するように暮らせる空間としてコリビングハウスを提供している。東京の企業の法人契約も結構あって、京都出張の拠点として活用しているようです。
林:Whatever SHIMOGAMO-EASTは、目立つ外観だし問い合わせが多いでしょ。
楪葉:オープン当初から殺到してます(笑)。土地を持っているオーナーから、プロデュースして欲しいという依頼がたくさんある。でも、ほとんどお断りしてます。引き受けるかどうかの判断基準は、その場所で共感を呼べるようなストーリーのある物件を創れるかどうか。自分が「住みたい! ここを利用したい!」と思える場所でしかやらない。
林:京都北部でも楪葉さんとの仕事が動きだしてて。相談される案件が、魅力的でおもしろいからすごく刺激をもらえる。
楪葉:こちらこそ、林さんから刺激もらってます。まだまだ一緒にやりましょう。
林:フェードアウトするつもりが呼び戻された感じ(笑)。
「よっしゃ、もっかい頑張るか!」ってスイッチを入れたら会社の業績が上がって、今はお客様からの注文も増えてバタバタ!
楪葉:林さんには家具をオーダーメイドできて、カッコイイ空間を創れる強みがある。いい空間があれば、シェアセカンドハウスとかインバウンド向けの体験ができるレンタルスペースとか活用法はいくらでもある。
林:僕にはないアイデアや経営のノウハウがホントにすごい。
これからもおもろいことに、巻き込んでもらいたい!